コーチングのパイオニアであり、組織づくり、SDGs等の専門家である吉田典生さんよりひとしずくに寄稿頂いたコラム「マインドフルネスの身体・心・頭」、3回シリーズの2回目です。
前回のコラムもぜひ
一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事
吉田典生さんプロフィール
関西大学社会学部卒業後、ビジネス・人事専門誌の編集記者を経て2000年に有限会社ドリームコーチ・ドットコムを設立。日本におけるビジネスコーチングの黎明期からパイオニアの一人として先駆的なプログラム開発に取り組む。
大手・外資・ベンチャー企業を中心に、企業の経営陣および次世代リーダー候補者の個人コーチ、組織パフォーマンス開発のコンサルタントとして活動。
国際コーチ連盟(ICF)のマスター認定コーチ、日米のプロファイルズ社戦略ビジネスパートナー。ビジネス・ブレークスルー大学院オープンカレッジ講師。国連が提唱する持続可能な開発目標SDGsを通した組織変革のための学習プラットフォーム、SDGs.TVの公認ファシリテーター。
著書は『心に静寂をつくる練習』(WAVE出版)、10万部超のベストセラー『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』(日本実業出版社)、『部下力~上司を動かす技術~』(祥伝者新書)など30冊を超える。
マインドフルネスのイメージ写真などを見ると、爽やかな青空、眩しい緑など、気分スッキリを表現したものが多いですよね。
瞑想をして心のモヤモヤが晴れ、気分爽快で仕事に出かける。たしかに、そんな日常の習慣としてマインドフルネスを位置づけられたらハッピーでしょう。
でも単にそれだけを期待していたら、
あなたはマインドフルネスに裏切られると思います。
実際、「いつも雑念がわいてくる」「集中できなくて途中で嫌になる」など、初心者に何日間かの実践を記録してもらうと、そうした報告が少なくありません。
禅に傾倒していたことで知られるアップルの創業者、スティーブ・ジョブズは次のようなことを語っていました。
「しばらく呼吸をたどっていると、心が鎮まってくるのを感じる。自分の中に静寂が訪れたと思う。しかしその直後、自分の心の奥底からさまざまな声が聴こえてくる」
身体を停止させるという静的なアプローチは、身体の微細な動き、なんとなく脳裏をよぎる思考、微妙な身体反応を通して認知する感情など、ふだん気づいていない動的な世界への気づきをもたらします。
それは今この瞬間の気づき、すなわちマインドフルネスそのものです。
ところが「静かな水面のような心」へのこだわりがあると、気づきが「違う、違う、こんな状態になるために瞑想しているわけじゃないのに」という評価になり、「やっぱりダメだ」という判断になります。
自分で作り出した思考が、気づきを追いやってしまうのです。
雨の日も風の日も台風の日も、ずっと続くことはありませんよね。なんとかしようと「天気の子」になることはできません。
それと同じように、特定の状態へのこだわりを手放して、知覚する今を受けとりつづける。次から次へと心の雲がわいてきたら、それを見つめてみる。そうすると空の雲と同じように、また風景は変わっていきます。
もしかしたら、一カ月くらいずっと曇りや雨の日がつづくかもしれません。
それでも、ノイズにあふれた「今この瞬間」を観察してみてください。
あるとき、雲の上にある青い空が開けてきます。
マインドフルネス・ベースド・コーチングキャンプ SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)
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